そうだ、神奈川県民のおもいで・大船観音に会いに行こう
※こちらは以前寄稿させていただいていたアシタノプラン様の記事を再編集したものです。記事内容は2016年2月掲載時の情報です。
20代になってから神社仏閣というものが気になるようになり、わたしの周りでも御朱印を集めて神社仏閣をめぐる友人が何人かいます。そんな同様に大人になって神社仏閣がいいなと思い始めた同類のみなさん、「大船観音」という観音様をご存知ですか?
「大船観音」は、京浜東北線最果て「大船駅」にある真っしろくて巨大な観音様です。山の木々の中から顔がのぞくほどの大きな観音様は湘南で生まれ育ったわたしにとっては常に視界に入ってくる、気になる存在でした。
小さいころは、ふと視線を感じて振り返ると、山の中にライトアップされてぼうっと浮かび上がる観音様に、恐怖すら感じていました。大人になった今、その姿を見ると「ああ、またここに帰ってきたな」と安心する存在に。
そんな神奈川県民のおもいで、「大船観音」に会いに行こうと思います。
まずは大船駅へ。
大船駅東口は、ルミネWINGなどの商業施設や、飲食店が多く立ち並んでいます。横浜ほど大きくはないながらも、かわいい洋服屋さんや雑貨屋さんにちょっとした手土産も選び放題なセンスの良いお店が多く並びます。
かと思えば、少し進むと庶民的で活気のある商店街も。こちらは「大船仲通商店街」。このあたりには「仲通商店街」「駅前商店街」「商栄会商店街」の3つの商店街があり、常ににぎわっています。
そして大船のマンホールとてもかわいい。
今回のお目当ては、駅前商業施設のある東口の反対出口、西口方面。栄えているか栄えていないかでいうと、東口には負けるかもしれません。その代わりにゆったりとした時間が流れています。
大船観音までの道のりで迷う人はいません。
東口に立つと……
み、みえる! 謎の白い物体。そうです、あれが観音様です。
微笑む観音様を目指して、10分くらい歩くと到着です。
拝観料は大人300円、小中学生は子供料金で100円。拝観券の観音様がまぶしい。やっぱり観音様には青空が似合いますね!
そう、木々の間から微笑むあれこそが「大船観音」。青空に映える真っ白な観音様が非現実的な美しさだ……!
階段から見上げると……。
優しく微笑んでこちらを見ている観音様! なんだろう、この光景すごく非日常感がある。芥川龍之介の「蜘蛛の糸」みたいな世界観。極楽の蓮池から落とされた蜘蛛の糸を登っている最中、糸の先に見えていたのはこんな景色なんじゃないでしょうか。
階段を登り切ると、ついに大船観音(白衣観音)とご対面です。目の前に胸から上の真っ白な観音様の姿が現れる……!
おお……なんて神々しいのでしょう……!
全長25メートルというただでさえ大きいバストアップの観音様は、もしも立ち上がったら50メートルはゆうに超えるのでしょう。鎌倉には「鎌倉大仏」という有名な大仏がありますが、そちらの全長(座長)は約11メートル。実は余裕でこの「大船観音」のほうが大きいのです。
「大船観音」は、戦時中の資金や資材の不足で未完成のまま放置されてたという厳しい状況を乗り越え、昭和35年に完成しました。完成以来、大船の街のシンボルとして静かに見守り続けています。
境内には「縁結びのめおと桜」などもあります。観音様の周りには桜が植わっており、桜の季節に桜の中でほほえむ観音様は必見です。
この観音様は、裏側に回ると「胎内巡り」も楽しむことができます。白くて大きな観音様の中に入ることができるなんて、わくわくするじゃないの。
胎内には小さいサイズの観音様が祀られていたり、施工当時の観音様の様子をパネルで見たりすることができます。全貌は是非ご自身の目で見てもらいたいところ。
境内には社務所があり、御朱印帖や置物も激しく大船観音様推しでちょっとシュール。
また、大船観音には、観音様をモチーフにしたゆるキャラ「のんちゃん」が存在します。……待って、のんちゃん顔の横の何それ尾ビレ? 尾ビレなの!?????
そんな体の構造も気になる「のんちゃん」にはお寺でイベントなどがある際に会えるかもしれないとのこと。
社務所には大船観音の形を模した最中もあります。紅・白・ノーマル3色の大船観音最中は、大船観音でだけ購入することができるレアアイテムなのです。
特に白い最中は入手必須。購入して帰ったあとも、あの神々しさを身近で感じたいという人にオススメなのが、こちら。
自宅がパワースポットに!? 手のひら大船観音さま!!!!
ブロッコリーで緑深い環境に恵まれた神秘的な大船観音を再現するとともに、お弁の定番であるブロッコリーを採用することで青春の儚さを表現してみました(?)。こちらのミニ大船観音はもちろん筆者が美味しくいただきました。
自宅でこうして大船観音を頂くことで、自宅がパワースポットになったような気がしました。はぁーありがたやありがたや。
営業時間
拝観時間(2月~10月)9:00~17:00
拝観時間(11月~1月)9:00~16:30
金額
大人: 300円 (高校生以上)
子供: 100円 (小・中学生) ※幼児は無料
団体: 200円 (20名様以上)TEL 0467-43-1561
このユニークな「大船観音最中」を作っているのは大船にある和菓子屋さん、「和菓子 龍月」さん。これは気になる……!
こんなユニークな「大船観音最中」を作っている和菓子屋さんっていったいどんなお店なんだろう……!? というわけで年明けの賑わいを見せる大船西口の仲通商店会を抜け、飲食店が多く立ち並ぶ方面へ。
「大船観音最中」を作っている和菓子屋さん、「龍月」は現在お店の立て直しのため、仮店舗での営業をしています。(※2016年5月まで。現在は元の住所に戻っています)
「龍月」に到着しました! たたずまいは昔ながらの商店街の和菓子屋さん。大船で大船観音を模した最中を作っているのはこちらのお店だけです。レア感。
ずらりと並ぶ大船観音最中! 神々しくも少しシュール。
豆大福、おだんご、茶まんじゅうなど人気の商品の中でも大船観音最中は段違いの人気があるそうです。
龍月さんは創業90年の老舗和菓子屋さん。「大船観音最中」は龍月の長い歴史の中でも先代の代から作っているというロングセラー商品。「大船観音最中」は一度生産を中止していた時期もありましたが、10年くらい前に復活したそうです。
赤と白の観音最中はお店には置いてありませんが、結婚式の引き出物や小学校の運動会などの機会で紅白まんじゅうの代わりに紅白の観音最中の注文があるそうですよ! この辺りの小学生がうらやましい。
「大船観音最中」を作っている和菓子屋さんは、大船観音と共に地元で長い間愛されているということが伝わってくる、ほっこりあたたかい空間でした。おかみさんの明るい人柄にも癒されること間違いなしですよ!
店舗名 龍月(りゅうげつ)
営業時間 AM9:00~PM19:00(木曜定休日)
金額 ~¥999
TEL 0467-46-3805
リンクURL http://www.e027.com/ryugetu.htm
リンク備考 大船商店街・大船仲通商店街店舗紹介ページより
まとめ
湘南といえば「江の島」「海」「生しらす丼」などいろいろな名物がありますが、敢えて声高に宣言したい。
湘南名物は「大船観音」だ! と。
「大船観音」はビジュアル的に天国に一番近い場所なんじゃないかと思っています。小説「蜘蛛の糸」の中でカンダタは強欲さを露わにしたことで糸を切られて地獄へ真っ逆さまになりましたが、強欲さを見せなかったら目の前に広がったのはこんな光景だったのではないかと。
そして大船観音最中は個人的に今まで自分が食べた最中のどれよりもおいしいと思っています。
「……。頭から……?」と躊躇せず、観音様のご利益にあやかるようにパクッと食べてみてくださいね。