先日、親知らずを抜いた。
はじめて存在を意識してからおそらく15年以上、心のどこかで私をモヤモヤさせていたあいつとの確執を、ついに解消した…!
これは、長きに渡る親知らずとの戦いに終止符を打った記録である。
親知らずとの確執の始まり
親知らずを初めに意識したのは恐らく高校生頃。下の歯が横向きに生える、「下顎水平埋伏智歯」というやつだった。その頃からいつか抜いた方がいいと歯科医に勧められるも、怖すぎて未来の自分に託してしまった。
その結果が今回の入院でもあるんだけど、多感な時期に顔が腫れるのはつらいよね。今の30代の一週間と高校生の一週間では重みが違いすぎる。そんなわけで高校生の貴重な一週間を、顔を腫らして過ごしたかもしれない可能性は、未来の私がきちんと引き継いだ。安心しろ、過去の私。(まあこの頃に抜いてたらもっと楽だった説もあるけど…)
話を聞くと親知らず抜歯をすすめられるもそのままにしている人も周りには多くて、私も本当ならそうしたかったけど虫歯の可能性があったから抜いた…。
実際、術後に抜かれた親知らずを見たら…
すべてが虫歯になっていた。(ギャーーッ)
かなり気をつけて歯を磨いたはずなのに!!! やっぱり親知らずは磨きにくいってのは本当なんだね…。
入院に至るまでの親知らずとの闘い
親知らず(合計4本)をすべて抜くまでには、結局3年くらいかかってしまった。
上二本は通いで抜けるものだったので、歯医者さんに通って抜いた。抜いた後も顔は腫れなかった。そして下二本を抜くのに、入院を勧められた。入院なら全身麻酔や今回私が受けた静脈内鎮静法(うたたねに近い状態で施術を受けられる方法)も可能なので恐怖心や不安が強い人にいいとおすすめされた。
恐怖少なめで全てを一日で終わらせる機会であることを期待して、それが可能となる大きな病院への紹介状を作ってもらった。
しかし紹介状を実際に提出したのはそれから2年近く経った、先月のことだ。
このコロナ禍において、紹介先の病院では院内感染もあったらしい。そういうこともあり、緊急性の低い自分の手術でベッドを埋めてしまうのはなぁ…と思い様子を見ているうちに2年近くあいてしまった…これは、言い訳でもある。
緊急事態宣言が解けた3月、ついに勇気を出して行ってきた。
紹介先の大きな病院へ
紹介状を持って病院に行くと、まず受付に行き、次に口腔内科の受付に行き、レントゲンを取り…と大きな病院なので、病院内をぐるぐる回るはめになった。
その途中で恐怖で逃げ出さなかったこと、自分だけは褒めてあげたい。
そしてやっと先生の診察が回ってきた。紹介状を見た先生といくつか言葉を交わし、
「それでいつ入院する?」ということになった。
まじかー。まだ全然心の準備できてないんだけどなーと思いつつやっぱりその場で逃げ出さなかったことを自分だけは褒めてあげようと思う。
入院の日を一ヶ月くらい後に決め、いろいろ書類を交わし、入院についての説明を聞き、診察料を払って帰ってきた。
なんとなく、まっすぐ帰りたくなくて病院の近くの神社に行き桜を眺め、サンドイッチを買って帰ってきた。その日は総合的に良い日になった。
手術の日当日・病院へ
そして入院前日。
怖すぎて夢に出た。夢の中で口の中をゴリゴリやられる悪夢だった。夢の中ですっごい我慢したのに起きた時にはまだ手術前日で、「手術終わってないじゃん!!」と絶望した。
入院の日は関東でも感染者がじわじわ増えてる頃であり、申し訳ない気持ちになりつつも逃げずに病院に向かった。逃げなかったことを自分だけは(略)
病院行ってすぐ抜歯なのかと思ったらまず病室に通される。病棟までは同じフロアの人が呼ばれてまとまっていくのだが、ここでも結構待った。そしてリストバンドをつけられる。
世の中に、こんなに嬉しくないリストバンドが存在して良いのか?
リストバンドって普段はフェスやイベントなど楽しいものと結びつくものなのに…。腕に巻かれたリストバンドを見ると、もう逃げられないんだという気持ちになった。
部屋は四人部屋の病室。ありがたいことに今まで入院とは縁がない生活を送っていたので、病院って感じだ…という感想だった。CMで見るパラマウントベッド…。
体を起こせて便利だし、良いんじゃんこれ。スマホも見やすい。普段からこれを使うのは…まだご遠慮したいけども、物はものとして結構好きだ。パラマウントベッド。
病院到着は朝10時過ぎ。実際の手術は14時ごろと意外と時間があった。看護師さんが呼びにきてくれるのを、電子書籍を読みながら待つ(DMMブックス、タイミング良く電子書籍のセールやってくれてありがとう!)(この期間でアニメだけ見てた鬼滅11巻くらいまでと、アオイホノオを5巻くらいまで読んだ)
手術前に敵との戦闘で傷ついて痛そうな炭治郎を見て、チョイスをミスった…? とちょっと思ったのは内緒。
手術の前に看護師さんが点滴を打ちにきてくれた。点滴、打つの…? 親知らず抜きたいだけなんだがなんか大げさな感じになってない…? そう、歯科医の先生はちゃんと説明してくれてたのに、すっかり点滴の存在を忘れていたのです!
手術室までは看護師さんが車椅子を持って案内してくれた。
帰りはこれに乗って帰るんだ、と思うと不安が増した。
親知らずの手術
そして手術台へ。腕に繋がる点滴と、鼻には酸素の管がつけられた。
親知らずを抜きに来ただけなのに……なんか大げさな感じだぞ…(2回目)。そもそも、点滴自体が人生で2回目くらいで、点滴を受けること自体に軽くショックを受けていた私はひたすらしょんぼりしていた。傍らでは看護師さんがテキパキと手術の準備しながらリーダーの悪口を言っていた。
先生が来て、口を開けて…。あれ、終わった。
意識はあったし、口の中をゴリゴリされてる感触もうっすらあったけど、ほとんど痛みもなくリラックスした状態で手術を終えた。やったぁ余裕じゃん!
なんか普通に歩いて病室に戻れそうなぐらい元気だったけど、ここでこけたらシャレにならないので車いすに乗って帰った。この時が一番元気だった。
親知らず2本抜くため入院中だけど、想像と違ってゴリゴリ意識ある中取ってもらいましたね…麻酔効いてるから全く痛くなかったし思ってたより怖くなかったけど!!
— 井口エリ⛅(ちぷたそ) (@chip_potekko) 2021年4月21日
でもガッツリ虫歯になってたので抜いて本当に良かった!!!😭😭😭
↑まだ余裕だった頃の私
やっぱり虫歯になっていたので、抜いてよかったと心から思いましたね…。
なんだ親知らず手術、余裕じゃんと思いながら電子書籍を読んで過ごし、18時には夜ごはん。
柔菜食きざみ食という軟らかく煮て刻んだものを夜に頂いた。なるほど病人っぽい…。
病院食だから塩分控えめで物足りない…。「ほとんど味を加えずに、素材の美味しさを活かしてそのまま刻みました!」って感じだ。でも魚をほぐしたやつは味も美味しかった。ごはんの後歯磨きしたら洗面台が血で真っ赤になって覚悟してたけどウワッてなった。
(歯ブラシぐらい持ってくればよかった。入院をなめすぎ。結局こういうやつを売店で買いました)
フロアにはシャワー室もあり、希望者は浴びることもできるけど1日だし、我慢してそのまま寝た。寝巻も借りなかったのだが家からTシャツくらい持ってくればよかった(反省)。
病院の消灯は21時だった。はっや! みんなもうこの時間で寝られるの…? 電気が消えると、周りから寝息が聞こえてきた。
私は場所が変わると寝つきが悪く、途中で起きてそれから眠れなくなることを懸念して23時くらいまで電子書籍を読みながら起きていた。持ってて良かった電子書籍。途中看護師さんが点滴を打ちに来てくれた。
退院日
病院の朝は早い。6時に起床して点滴を打ってもらい、7時半くらいには昨日の夜食べたようなごはんを頂く。きざみ食のかけらが抜いた跡に入ってしまわないかと、それはそれで怖い。
病院ではほとんど待っている時間だった。診察に呼ばれるのをベッドで待つ。診察では「出血も止まっているし、よい経過」だと言われたが、頬が腫れはじめているのが気になっていた。
診察が終わり、清算をし(想像よりも高かった。4万ちょっと。クレカ使えたのがありがたい)、退院手続きをして晴れて退院に。私は1泊2日で済んだが、2泊3日とかそれ以上の人も多いそうだ(術前にひたすら「親知らず 入院」でTwitter検索していた。怖いので)。
この時もまだ元気だったのでモスチーズバーガーを買って帰った。塩分控えめでちょっと物足りない食事からのモスバーガー、うまかった…! 今まで食べたシチュエーションで一番うまいモスバーガーだったかもしれない。この時は元気だったのでなんでも食べられる気がしていたが、この後すぐに顔が腫れて、痛みでお粥とかしか食べたくなくなる。
今は全然食べたいと思えないので、食べておいてよかったモスバーガー。
術後経過
手術から3日経った現在。まだ顔が腫れている。
親知らず抜いた影響で今日も顔が四角い
— 井口エリ⛅(ちぷたそ) (@chip_potekko) 2021年4月23日
↑腫れのピークとされる、手術2日後のツイート
今ブログを書いているのはこのツイートの翌日だが、まだ腫れている。もはやはじめからこんな感じの輪郭だったような気がしている。あと痛みがある。今朝は痛みで起こされた。だが、痛みについては痛み止めが処方されるので、そこまで恐れなくていい。
頬が腫れ、口が開けにくかったりすることがありますが通常3〜4日で軽減します。痛みは個人差が大きいですが鎮痛剤で抑えられる程度です。約1から2週間で傷はほぼ治ります。術後38℃前後の発熱は特に異常ではありません。
(たかはし歯科医院の「親知らずを抜く前に!」より引用)
術後については上記のページの通りだと思うのだが、SNSを見てると1週間ぐらい腫れが続く人もいるようだ。そして傷がほぼ治るまでには1~2週間かかるのか…。
親知らずの抜歯、手術よりもその後のほうが大変かも。
痛みはあるし、食欲はあるけど食べると顎の痛みで急速に食欲を無くしてしまう。普通の食事取れそうだな~って術後すぐは楽観視していたものの、諦めてお粥を作った。あと家族が作ってくれたスープに生かされている。今の私は白米の一粒にすら負ける…。
手術を受けたことに後悔はないし、抜いてよかったな~という感想しかない。実際に虫歯になっちゃっていたし、これを放置しておばあちゃんになってから抜いていたらもっと体力的に大変だったと思う…。高校の時に抜いてたらもっと楽だったのかもしれないけど、私は大人になった今で良かったかな。コロナ禍のなかの入院だったけど、逆に今なら腫れた顔をマスクで隠せるというのもよかった。
入院費用の出費は普通に痛いが、生命保険で入院給付金が降りるようなのでちゃんと申請した。備えておいてよかったねぇ。
親知らずを抜くと小顔になると聞くので、腫れがひいた後の自分の輪郭も楽しみにしておこうと思う。
この記録が、誰かの親知らず抜歯に踏み出す勇気になれますように。
※追記
3日目から痛みが強くなって寝てばかりいる(現在6日目)。朝も痛みで起きる。ドライソケットになってるんじゃ?という不安があり早めに病院行ったら安定してますってえええー。オイオイオイ安定しててこの痛みかよーーーー!! 上で抜歯後の方が大変かも、なんて言ってるんですけど余裕で抜歯後の方が大変です。お粥しか食べられないし、経過観察でもしばらくお粥続くって言われた…。引き続きTwitterで親知らず抜いた人のツイート見に行ってしまう日々。抜歯後苦しむ皆さん、頑張りましょうね…。