最近、日本のクリスマスはキリストの生誕を祝う日よりもむしろ、サンタクロースという来訪神的な存在を家に迎える年中行事となっているんじゃないかということを考えていた。
そして、来訪神を迎える年中行事自体は既に存在する。お正月だ。
今でこそ来訪神を迎えるという意識は薄れているが、お正月は各家々を来訪する神様である歳神様を迎える年中行事だ。
かつては家に正月棚を作り、お正月まで忌み籠もりをして、家の代表は氏神神社に籠ったりして、家族みんなで歳神様を迎える準備をしていたという。
もしかして、お正月とクリスマスは似ているのでは???
クリスマスと正月は似ている?
考えてみると、クリスマスとお正月は似たようなアイテムがあることに気づいた。クリスマスツリーやリースだ。
どちらも永遠の象徴としての常緑の植物を使用する。
お正月飾りは、歳神様を迎えるために飾るもの。門松は歳神様が家を訪れる際に目印となるものだ。門松、どことなくクリスマスツリーっぽいよね…。
また、しめ飾りは聖域を表すもの。しめ飾りはクリスマスリースっぽいよね…。
クリスマス時期に扉にはリースを飾り、リビングにツリーを飾る。
もちろんそれはキリスト教的な意味を持つものなのだが、歳神様が訪れる目印のために飾る門松やしめ飾りのようだと思ってしまう。サンタが訪れる目印…的な。
また、鏡餅は家に来た歳神様の依代であり、供物となるものである。
歳神様への供物である鏡餅は、鏡開きの日に割って食べる。それには神様の宿るところであり、神様のお下がりである鏡餅を頂くことで、“神様のお力をいただく”という意味もある。
自分が小さい頃にクリスマスを迎える際、枕元にサンタさんのために牛乳やクッキーを供えた記憶がある。この牛乳やクッキーに関しては完全にサンタさんへの供物じゃんね!!
クリスマスイブの夜にサンタさんに供えた牛乳やクッキーを、サンタを代行した家の人が食べることで来年へのサンタパワーを溜める、みたいな話にならないだろうか。なんなんだサンタパワーって。
やっぱり来訪神っぽいんだよな、サンタクロース。
年越しの大祓とクリスマス
桃の節句とか七五三とか年中行事や人生儀礼には「祓え」がつきものだったりするけど、クリスマスに祓えを合わせても違和感ない気がする。
クリスマスは今年1年いい子に過ごすことができたか、自分を見つめる行事。
年の最後に身を清めて「サンタサマ」を迎える準備をしてもてなし、自分も欲しいものを授けてもらう。
そうしてクリスマスで身を清め、また来るお正月には年の初めに歳神様をもてなし、来る1年を健やかに過ごせるように祈願する。
こんな感じでも違和感ないのでは(クリスマス部分が私の妄想)。
なんなら年越しの大祓とクリスマス、何かきっかけがあれば、100年後とかに合わさって文化になっていてもおかしくない気がする。
サンタクロースが神様だった場合どんな神様なんだろう
ここまでで割とサンタクロースって来訪神っぽいなの気持ちを強めているわけだが、もしサンタさんが神様だった場合、どんな御神徳を持つ神様なのかということが気になった。
神話の神様たちは自身を象徴するエピソードなどから御神徳が決まっていたりする。そう考えるとサンタさんの御神徳は、
延命長寿
無病息災
航空安全
このあたりな気がする。御神徳まで考えちゃうと、赤いナイトローブに白い髭をたたえた姿も神々しさを感じるよね。
ここまで書いて「サンタクロース 来訪神」でTwitter検索したらめちゃくちゃいろんな人が同じようなことを考えてたことを知る。そしてなまはげとの共通点を指摘する人が多かった。おお…なまはげ…。
歳神様を迎える年中行事という意識が薄れた現代、正月よりもむしろクリスマスの方が来訪神を迎える行事っぽくなっている。でも、お正月に歳神様を迎えていた歴史があったからこそ、クリスマスが、サンタクロースが日本に馴染んでいるんじゃないかなと思う。
皆さま、良いホリデーをお過ごしください。